引っ越し初日に財布を落とした

スポンサーリンク
スポンサーリンク





あれは僕がまだうら若き18歳の頃。

進学を機に一人暮らしをすることになった。
人生初めての一人暮らし。

僕の胸は夢と希望で溢れていた。

どんな人と出会い、どんな生活が始まるのか。
楽しみで仕方がなかった。

スポンサーリンク

引っ越しの日

高校を卒業し、待ちに待った引っ越しの日になった。

「家電や家具は最低限で抑え、新しい街で揃えよう」

そう決めていたので荷物は少なかった。

学生の身分。
そんなに仰々しい引っ越し作業ではなく、父親の運転で2トントラックで荷物を運ぶことになった。

弟にも手伝ってもらった。

引っ越し作業が終わり、父親が「頑張れよ」と言い残しトラックで帰って行った。
弟は無言だった。

さて、散策だ!

僕はこの街を知らない。

スーパーの場所。
一番近いコンビニ。
郵便局。
美味しそうな食事処。

そういえば来る途中にホームセンターがあったっけ。

「とりあえずホームセンターに行ってみよう」

そう決めて出掛けることにした。

生まれて初めて自分の部屋に鍵をかけた瞬間は今でも覚えている。
なんだか嬉しかった。

スポンサーリンク

街の散策

見るもの全てが輝いて見えた。

オシャレな店。
少し広い公園。

庭がよく手入れされた綺麗な民家。
はしゃぎながらすれ違っていく子供たち。

どこにでもあるようなこの道も、これからの新生活では毎日通るんだと思うと感慨深いものがあった。

ホームセンターに着いた。

財布がなかった。

スポンサーリンク

全財産紛失

財布を落としてしまった。

「ウソだろ・・・・・・・」

どこで落としたんだ?

「家に置いていたのかもしれない」という希望はすぐに消え去った。
玄関の鍵をかけた後に、歩きながら財布を持ってきたことを確認していたからだ。

「家具や家電、必要なものは出来るだけ新しい街で揃える」
そう決めていた僕は、引っ越し後に父親から5万円を貰っていた。

手持ちも合わせると5万数千円が入っていた。

バイト代が入ったキャッシュカードも入っていた。
クレジットカードをまだ持っていなかったのは不幸中の幸いだった。

夢や希望にあふれた引っ越し初日。

一気に絶望が襲ってきた。

初めての一人暮らし。
初日に、突然僕は文無しになった。

スポンサーリンク

友達と彼女

地元に帰るか?
いやそんな金はない。

手元には1円もない。

ホームセンターからアパートまで必死で財布を探す。
どこで落としたのか皆目見当がつかない。

見つからない。

ついさっき通りかかった公園。
ベンチに座りうなだれた。

どれくらい経っただろう。

近くに住んでいる友達に電話をした。
来てくれることになったが、まだ時間が掛かるとのこと。

次に当時付き合っていた彼女に電話をした。
呆れていたが助けてくれることになった。

「すぐそっちに向かうから、その間に交番に行って」

そうだ!交番があるじゃないか!
交番はどこだ?

日が落ち始めていた。

スポンサーリンク

交番

交番を探す。

今の違い、グーグルマップという便利なものは当時なかった。
一旦アパートに帰り紙面の地図を見る。

その地図を手に交番に向かった。
結構近かった。

夕暮れ。

交番に辿り着くと警察官二人と、一人のおばさんがいた。

「すみません、財布を落としちゃって・・・」

「あれ?え?もしかして」

一筋の光が見えた気がした。

スポンサーリンク

中年の女神

あばさん「財布落としたの?これでしょ、これ!」
警察官「さっきちょうど!君~よかったね!」

僕「えっ!え?それ僕の財布です!!!!!!!!」

見つかった!
すぐに見つかった!

おばさんが届けてくれたらしい。

僕「ありがとうございます!今日この街に引っ越してきたばっかりで!」
あばさん「あら!そうなの?駄目よ~気をつけなきゃ、ふふふ」

警察官「よかったね~。さてと、学生証が入っていたから本人なのは確認できたんだけど、中身を言ってくれるかな。一応決まりだから」

僕「あっ!はい!え~とですね・・・現金が5万数千円とキャッシュカードと学生証と保険証と・・・あっ!」

ヤバい!
僕の財布には、本来入っているはずのないものが入っていたのだ・・・。

スポンサーリンク

ヤバいもの

僕はヤバいものを財布に入れていた。

決して法に触れるものではない。
しかし財布に入っているはずのないものであり、凄くデリケートなものだ。

それはつまり・・・その・・・避妊具だ。
ゴムの。

恥ずかしい!
言いたくない!

僕「あの~、それと・・・ゴ・・・ムの」

警察官「は?」

僕「コンドー・・・マッチのあれですマッチの苗字は近藤・・・マッチでーす!黒柳さ~~ん!!!って・・・」

警察官「な~に言ってるんだ君は!」

僕「コンドームが入っています」

警察官「あ~はいはい(笑)そうですね」

恥ずかしかった。
めちゃめちゃ恥ずかしかった。

コンドームを伝えたくて、近藤と言えば伝わるような気がして、遠回りをしすぎて近藤真彦のモノマネをしてしまった。

ていうか、おまわりさんも「そうですね」って・・・。

僕の発言が意味不明だという方も多いでしょう。
なぜ僕が交番で「マッチでーす!黒柳さ~~ん!!!」と叫んでしまったのか。

知らない人はYouTubeで『ダイノジ マッチ』で検索してみよう。
全てが分かるはず。

スポンサーリンク

財布は落とすな

恥はかいたが財布は戻ってきた。
代償は大きかったが仕方ない。

それから僕は財布について考えるようになった。

僕はその当時、長財布を使っていた。

大人になって分かったことだが、男の長財布は本来、胸の内ポケットに入れるものらしい。
ジャケットやコートなど。

折り畳み財布も考えたが、「たくさん入る」という理由で、当時の僕は長財布を使い続ける決心をした。
同時にウォレットチェーンを使うようになった。

これで問題ない。
そのはずだった。

スポンサーリンク

長財布じゃなくなる日

それから月日が経ち僕は大人になった。

気が付けばウォレットチェーンは『ダサいもの』になっていた。
仮にダサくなくても年齢的にも厳しい。

それに加えてキャッシュレス化という時代の波。

財布のトレンドは折り畳み財布やスマート財布になってる。

買った。
スマートな折り畳み財布を買ったのだ。

僕は今、オーストラリア発の本格革財布ブランドBELLROY(ベルロイ)を使っている。
非常に気に入っている。



日々の友だ。
もう離さないぞ!(落とさないぞ)

先日、とある番組で、ある女優さんが「ズボンのポケットが財布の形になってるのダサい」と言っていた。

スマートなこの相棒はそんな心配がない。
スマートすぎるのだ。

ただし、スマートすぎる故に長財布ほどの容量はない。

凄くよく出来ていて、生活上で支障がないほどのカード類はちゃんと収納できるし、オーストラリアブランドだが日本の紙幣に対応して作られている。

長財布を長年愛用してきて、レシートやら領収書やら映画の半券やら何でもかんでも財布に突っ込む癖がある人には向かない財布だ。
僕もそうだった。

何でも突っ込み過ぎて、Suicaが改札で通らなかったほどだ。
しかしこいつは問題ない。

住めば都。
財布も使っていれば愛しい相棒になる。

そして、今の相棒にはコンドームは持たせていない。

スマートな男でありたいからだ。

ベルロイ公式サイト:BELLROY正規販売店

スポンサーリンク
スポンサーリンク
一人暮らし体験記
スポンサーリンク
この記事をシェアしよう
reonをフォローする
一人暮らし新書